真田父子の犬伏の別れ

司馬遼太郎の「関ケ原」が映画化され、8月26日(土)に上映が始まるそうで、書店でそれを知りひさしぶりに司馬さんの歴史小説を読むことにしました。映画での配役は、岡田准一(石田三成)、役所広司(徳川家康)、平岳大(島左近)、久保酎吉(本多正信)、有村架純(初芽)です。この小説は1981年にすでにTBSでドラマ化されていました。このときの配役は加藤剛(石田三成)、森繁久彌(徳川家康)、三船敏郎(島左近)、三國連太郎(本多正信)、松坂慶子(初芽)の超豪華キャストでした。

今、中巻の「六文銭」の章を読んでいます。この章では、家康の命により上杉征伐に向かいつつある真田父子が佐野の犬伏で密談し、家康側に長男・信幸が、三成側に父・昌幸と次男・幸村(後の大坂の陣の将)に別れる場面です。この落ち合った場所が佐野市犬伏新町の新町薬師堂です(写真)。例幣使街道沿いにあり、北に唐沢山、南に三毳山(写真)があるところで(地図)、山が近くに迫っているせいか夏は夕方など雷雨が多い場所です(真田太平記)。

下の写真は昨日撮ってきました。館林からクルマで30分くらいのところです。歴史の楽しさは、こうして時を経て、歴史を俯瞰しつつ、歴史の舞台を訪れることにあります。関ケ原の戦いの結果、家康が戦乱の世を収め、天下泰平を実現し、日本の経済や文化の成熟をもたらし、明治維新、近代化の成功につながるわけですから、後世のわれわれは、三成には申し訳ないですが、家康の勝利でよかったと思うしかありません。

しかし、われわれのこころのどこかには、義を重んじ、向こう見ずにも家康に立ち向かった石田三成や真田昌幸・幸村父子の知略や勇気を愛する気持ちがあることも事実ですね。石田三成役の岡田准一は永遠の0で愛する妻子を思い特攻を忌避し、臆病者とののしられた宮部久蔵役だったそうで、勝者の作った後世の歴史からは、関ケ原で敗走し岩窟に隠れていた臆病者、卑怯者と悪役になってしまった石田三成を見事に演じてくれるのではないかと期待しています。

新町薬師堂

新町薬師堂

佐野・栃木周辺の地図

「犬伏の別れ」(1600年7月21日)から「小山評定」(1600年7月25日)、●は例幣使街道(佐野市から栃木市)

三毳山

三毳山(手前道路が旧例幣使街道)

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