タイスの瞑想曲

京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで大林宣彦監督の「転校生」を見てきました。
この作品の「製作総指揮」になっている佐々木史朗さんのお話が映画の後にありました。
彼はこの作品が制作の過程で映画会社の倒産で頓挫しかけたときに、日本テレビなどに掛け合って無事撮り終わった、そのため大林さんが彼への感謝の気持ちから「製作総指揮」ということになってしまったというエピソードを話されました。
わたしはこの作品を80年代にはじめてテレビで見て、その後もビデオで何度も見ました。
この作品を見ていると、尾道の美しい映像と挿入されているクラシックの名曲の効果なのか、明るい思春期物語の爽やかさからなのか、遠きふるさとへの郷愁や己の遠くなりゆくばかりの青春への追慕などが複雑に絡まりあって感傷的な気持ちになります。
使われている楽曲は
●「アンダンテ・カンタービレ」チャイコフスキー(Youtube「尾道ロケ地巡り」
●「トロイメライ」シューマン
●「天国と地獄 序曲」オッフェンバッハ
●「タイスの瞑想曲」マスネー(Youtube視聴
●「G線上のアリア」バッハ

です。製作費を切り詰めるために家庭名曲全集から採集した曲だそうで、それがかえってこの映画を魅力的なものにしました。

「アンダンテ・カンタービレ」や「タイスの瞑想曲」を聴くと、この映画の数々のシーンが思い浮かびます。両曲の速度記号はAndante(アンダンテ,♩=63~76)で、Adagio(アダージョ,♩=56~63)よりやや早いですが、人間の脈拍のリズムに同期するからなのか、ゆったりとくつろいだ気分にしてくれます。

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